"妄想"ログ解析のススメ

後輩たちが、「ログ解析が分からない」と悩み続けている。「教えて下さい!」と言われるので、なんとか手法を標準化できないものかとあれこれ考えるのだが、なかなかいい方法が浮かばない。
ネットサービスのマーケティングは主に(定性データももちろん併用するけど)アクセスログを元にした解析・検証で行われる。ユーザーのリアクションが数値という形で客観的且つタイムリーに入手できるため、お客さんの商品に対する評価が即時に把握でき、早い対策が打てるのが強みだ。
公式モバイルサイトにおけるログ解析の場合、メインどころは「入会」「退会」関連の数値。例えば「キャリアメニューからの入会率」のように単純なものに関しては「=メニューからの入会者数/メニューからのアクセス数」という公式に当てはめて計算すればよい。しかし、実際の現場で知りたいのは、実施した施策の効果で、その検証のためには様々な角度から解析する応用力が必要になる。どの数値を見ればユーザーの動向が見えるのか。どう計算すれば妥当性の高い検証ができるのか。答えは一通りではないし、サイトによっても施策によってもその手法は異なるため、標準化や公式化が難しい。
ただ、陥りがちな罠は見えてきた。右脳感覚派が多いせいか、施策の実施検証の正しいプロセスを踏んでいないことがそもそもの原因、という点だ。思いつきでやってみる!は大いに結構。それやんなきゃ企画職の意味ないもん。ただそっから更に右脳を使って妄想しまくれ!というアプローチ。

●よくやっちゃう例:
 1.思いついた!
  ↓
 2.やってみる!
  ↓
 3.検証しよう!
  ↓
 4.(ログをあさる)
  ↓
 5.・・・何をどう見ればいいの!?(泣)

この場合、膨大な項目のデータの中で何が今回必要な数値なのかが分からず、途方に暮れる。しかし、足りないプロセスはたったの2つだと思う。

★1の後、「お客さん」に期待するリアクションを妄想してみる。
大抵の場合「面白いカモ」とか「便利カモ」という理由で企画を思いつくもの。当然お客さんにも「面白い」とか「便利」と思って貰うことが目的だが、じゃあそう思ってくれた場合、お客さんはどう動くか、自分ならどうするか、を全力で複数パターン妄想する。このとき、その企画の「お客さん」が具体的に誰なのかを明確化しておくことがポイント。企画には必ずターゲットユーザーがいることを意識しておく。

★妄想の検証を妄想する。
各妄想の立証に必要なログデータは何なのか、この時点でピックアップしておく。例えば「コンテンツAのダウンロード率が上がるだろう」と妄想した場合、『コンテンツAのダウンロード数』がまず必要。その企画のターゲットがコンテンツAを掲載しているページAに来たユーザーのみなら、分母は『ページAのアクセス数』。会員全員がターゲットなら分母は『会員数』。アクティブ会員のみがターゲットなら『会員アクセス数』。と色々と想定してみる。想定の中に、現状取れていない項目がある場合は、施策実施前に数値を取得できるように設定しておく。

この2つのプロセスを追加すれば、「よくやっちゃう例」が以下に変身。

●よくできた例:
 1.思いついた!
  ↓
 2.お客さんとそのリアクションを妄想!
  ↓
 3.妄想の検証を妄想!
  ↓
 4.やってみる!
  ↓
 5.「3」を実際にやってみる!

そもそも妄想は右脳ちゃんの得意技。プロセスさえ間違わなければ、数値の検証なんて苦手意識を持つような作業ではない。企画職は常に「想像力」勝負だと思うのだ。